2008年12月1日月曜日

Four Tet

Mum以来の衝撃。
エレクトロニカの未来がここにある。




あふれるテクノロジーの中にあって、
生音を奏でられる数少ないアーティストだと思う。

って書いて思ったけど、
生音ってなに?


生の音が何かを知るためには、
生じゃない音は何なのか知らなくてはいけない。

パソコンとか、スピーカーとか、
そういったものを一切介さない音を生音と呼ぶなら、
俺らが日常に耳にできる音楽のほとんどは生音ではない。
生音なんて、誰かの口笛くらいだろう。

でも少し別の視点から見てみると、
自分たちの耳に響くのは生の音しかない。
どんなデジタル信号も、空気の振動に変換されないと
ひとのこころには届かない。
そういう意味では、すべての音は生音だ。


デジタル時代の音楽は、
音とは何かを問いかけている。


Four Tetが鳴らす音は、
10年前なら生音ではなかった。
でも、今は日常に溢れる音だ。

上のYoutubeの動画を見たときに流れる音は生音ではないけれど、
スピーカーからこの曲を聴くとき、
きっと俺は普段自分の回りにある音を思い出す。

それはパソコンの起動音かもしれない。

黒板をひっかく音かもしれない。

「生だった」音を思い出すことで、
俺は生じゃない、冷凍保存された音を解凍している。
それは同時に、冷凍保存された思い出を解凍していることでもある。

生音とは何か、
音とは何か、
という問いに答えるとき、
俺は何を思い、
何を知るのだろう。

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