2009年2月21日土曜日

災害の格差

最近、人並みに将来について悩んでいて、
就活はしないけど、どこの院に行くか決めてないことに焦燥感を覚える。
とりあえず、就活組を見習って業界研究とかをしてみようと思って、
専門誌を軽く読んでみた。


機関誌「河川」

「地球温暖化などに伴う水災害の解決に向けた国際的取組」という特集が組まれていて、おっ、と思った。
思いがけず国際協力っぽい雰囲気。

が、最初の方の記事は、
日本は英語はできないけど技術力はすごくて、だから英語さえ磨けばできる子なんだよ。もっと世界に日本の存在感を見せてやろうぜ!
みたいな感じで書いてあって、
世界で協力して水害を乗り越えよう
という前向きさはあんまりなく、
水害がひどくなるこれからが儲け時だけど、
このままでは競争に負けるでしかし。
みたいに殺伐とした本音が見え隠れする。

ちょっとうんざりして、
あんまり期待せずに残りのページをぱらぱらめくった。
すると、最後の方に「フィリピンのスラム街」というキャプションがついた写真があって、
懐かしい。
と思って目が止まる。
俺が行ったところかはわからないけど。


その記事は、途上国での水害警報のために、
水害を予測するソフトをつくった、
という感じの内容だった。

記事によると、水害警報に必要な要素は三つある。

1. データがあること
2. データの解析から水害を予測できる能力があること
3. 水害の予報をみんなに伝えられること

当たり前みたいな感じがするけど、
どれもなかなかに難しい。

まず1は、観測設備が整ってなかったり、国境をまたがっていてデータが揃わなかったり。加えて、気候変動のせいでいままでになかった降水パターンがあらわれる。
2は、精度がいい予測手法を開発するにはお金がかかる。
3は、情報がすぐにつたわる体制づくりコミュニティづくりが大切だが、写真に載っていたスラム街のような地域ではなかなか難しい。


その水害を予測するソフトは、1、2の要素をカバーするもので、
広くデータはあるが精度は悪かった衛星画像からのデータでの水害予測を可能にした、
というものだった。
データはネットを通じて無料で提供されてるものを使うので、世界中のどこでも使える。
これはたぶん画期的で、精度のいい地上観測のデータをあえて捨てる勇気がなかなか真似できない。


でも問題は、3だ。


日本でも海外でも、社会的に弱い人は水際に追いやられる。
すぐに水が得られて便利な代わりに、
水害が起これば真っ先に危険にさらされる。
それはほとんどの場合スクオッター(不法占拠)というかたちを取るので、行政サービスを受けにくい。
水害情報を発するのは政府だが、
「不法」な地域と政府がどこまで手を組めるのか。

記事には、そういう問題提起としてスラム街の写真が掲載されていたが、
その答えは示されていなかった。


災害は、偶然のものではなくて、人災だ。
被災するリスクは平等ではない。
持てる者は安全な場所に、
しぜん、持たざる者は危険な場所に住む。

その格差を埋めることができるのか。
福祉、IT、教育などなど。
様々な分野で問われている「格差」の問題が、
防災においても立ちはだかっている。

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