2009年6月26日金曜日

ひとりになる。

研究計画書を提出して、ほっとひといき。
サークルを辞めて、初めてがんばった気がする。

一息つくと昔のことを思い出したりする。
「ひとりになる勇気を持ってください」
と、去年の夏言った言葉をふと思い出した。

(以下、ちょっと思い出を美化して書いてるかも…。半信半疑で読んでください。)

夏には苦い思い出が多い。
去年の夏、某環境系団体の合宿イベントで俺はスタッフをしていた。

その団体はでっかくて歴史もあって、そして硬直化していて。
俺はその団体の国際チームに所属してたけど、みんなで話し合うフリしてでも結局リーダーがやりたいことをやるのが好きじゃなかった。
大嫌いだった。
合宿イベントなんて絶対に行かない。と一度は心に誓ったのに。


けれど俺は、うっかりそのチームの新歓を手伝った。
そのチームにいた仲間まで嫌いだったわけではなかったから、手伝った。
手伝ってしまった。

そのせいで、何も知らない新入生が入って、仕事を押しつけられて苦しんでいる。
一番やる気があった子は、代表に仕立て上げられて、その重荷に堪えられず音信不通になった。
ひとり、ひとりと辞めていき、逃げ遅れた人が残された仕事に忙殺される。

わかっていたはずなのに。
こうなると薄々気付いていたのに、
なぜ俺は新歓を手伝ってしまったのだろう。
今でもときどき後悔に襲われる。


俺は、合宿に行った。
責任を取るために。
もう戻らないと決めていたそのチームの一員として。

そのチームで全日いるのは、俺と新入生ひとりだけだった。
俺は毎日がすごくつらくて、
夜は誰かとしゃべってないと不安でたまらず、
朝起きると逃げ出したい気持ちに駆られる。
でも海外のひとの応対のために、日本標準以上の笑顔をつくらないといけない。
日本標準以上の心の陰鬱さを隠しながら。

それでも、新入生の子がつらくても黙々と仕事をしているのを見ると、
あ、俺はこの子を助けに来たんだ。と思い出す。
助けになっていたのか、
助けられていただけなのか、
俺にはわからない。
その子の涙を流させないためにここにいる、という大義名分で
かろうじて俺は支えられていた。


でも、何日目かの晩のことだった。
夜のミーティングで、リーダーと俺と新入生がいた。
もう何を話してたか覚えてないけど、たぶんリーダーが、負担をかけてごめんね、みたいなことを言っていたんだと思う。
するとその子は、僕のことはいいんですけど。と言って言葉に詰まる。
少しの間があった後、手で目を押さえながら、
辞めていった友達のことはちゃんと申し訳ないと思ってください。と言葉を足した。


涙声で。


あっ、と思った。

俺はこの子に涙を流させないためにここにいるはずで、
なのにこの子は涙を流していて。
涙の理由はわからない。
友達への同情か、リーダーへの怒りか、仕事のつらさか、
わからないけれど、
俺の中で、何かがぷちっとちぎれた。
緊張の糸とか、そういう系の。

悔しさで視界が滲む。
もっと直接的に言うと、俺も泣いた。
結局、また俺は責任を果たせなかった。
それがとても悔しくて。
10分くらいずっとうずくまって泣いてた。
人前で泣いたのは、たぶん小学校以来だ。


泣いたらなんだかからっぽになって、
あんまり考えずに仕事をこなせた。
なんだかわからないままに最終日になって、
楽しかった(人によってはつらかった)合宿も終わる。
集まった200人は別れを惜しむ。
この合宿イベントで、みんな仲間を見つけてモチベーションを上げて帰っていく。
でも、ここで上がってるモチベーションは帰ったらすぐ下がる。というパターンが多い。
俺はなんかそういうのが嫌だった。


最後、舞台にマイクがおいてあって、誰がしゃべってもいいという時間。
からっぽの体を動かしてマイクを手に取る。
200人の聴衆にびびりながら俺は、
「ひとりになる勇気を持ってください」
とおそるおそる言った。

どんなに仲間がいても、
例えばこの合宿から帰ったら、
あるいはサークルのミーティングから帰ったら、
自分の部屋に入ればもうひとりぼっち。
何かを成し遂げようと思うとき、ひとりになる時間が必ずある。

でもひとりと孤独は違う。
仲間がいるから、ひとりになれる。
そういう勇気が、
同じ空の下で、お互いにひとりでもがんばるんだという
仲間を信じる強さが、
あってほしいと俺は願う。



しかしその言葉は、
200人に言っているつもりで、
実は俺自身に言っていたのかもしれない。

ひとりで苦しんでるフリをして、
そのくせその子を当てにする。

ひとりになることも、
仲間がいることも、
都合のいい言い訳にして
現実と向き合わない。

そんなの、ダメだ。



だから俺は、何かあるたび
自分はいい意味でひとりになれているのか確認する。
そしてそのたび、
孤独に、仲間に、ただ甘えているだけだと気付かされる。

椎名林檎の「罪と罰」という曲に「小部屋が孤独を甘やかす」という歌詞があるけれど、
孤独は、甘やかされるのによく似ている。


今回の研究計画書だってぜんぜんダメだけど、
でもちょっとはひとりでがんばれた気がする。
研究計画書はひとりの闘いだけれど、
いろんな人が助けてくれて、
仲間のありがたみを感じられた。

そんな風に思えるのはなんだか初めてで、
サークルやめて良かったな、と思ったりした(笑)

1 件のコメント:

YoRi さんのコメント...

おつかれさまです!
なんだか感動・・・☆;

>同じ空の下で、お互いにひとりでもがんばるんだという仲間を信じる強さがあってほしい

このフレーズに強く共感しました。