2010年11月26日金曜日

OracleによるSun買収の影響

2009年4月20日、
Oracle社がSun MicroSystems社を買収することが合意された。

↓その時に書いたブログがこれ。

手を離してみようぜ。: 太陽の行く末


今読むと、楽観的すぎたと思う。


ちょっと今回のブログはマニアックになるけど、
俺はかなり怒ってる。Oracleに。
もし興味あれば読んでね。





Sunは、オープンソースに優しかった。

オープンソースというのは、
簡単に言うなら、ソフトウェアのプログラムをみんなに無料公開して、
みんなの力でつくりあげよう、みたいな概念のことを言う。

Sunの下で、Java、MySQL、OpenOffice.org、OpenSolarisといった重要なオープンソースプロジェクトが成長してきた。


えっ、でも無料でどうやって金を稼ぐの?
と思うかもしれないけど、オープンソースだって金を取る。
ソフトを売るんじゃなくて、サポートやカスタマイズを売る。
そのために、オープンソース化は重要だ。
企業目線で見るなら、

・無償で開発に協力するコミュニティができる
・会社の技術力の宣伝になる
・会社のイメージアップになる

というような効果があるから。


まあ、そうはいっても、
オープンソースは、うまくやらないと金になりにくい。
公開するよりも隠して、「欲しかったら金を出せ」という方が、
(少なくとも短期的には)儲かりそうな感じがする。


Oracleは、そう思う企業で、
オープンソースがあまり好きじゃない。
もっと技術を隠して、顧客に金を払わせたい。

それはそれでいいと思う。
その方針自体を批判するつもりはない。
実際、Sunがつぶれたのは、
オープンソースの収益化がうまくいかなかったためだ。
二の徹を踏む訳にはいかないのはわかる。

けれど、Oracleは、
Sunが身を削ってまでオープンにしたものを、
それを支える多くの人が作り上げてきたものを、
利益のためというだけで食い潰している。

たくさんの人間の思いを踏みにじっている。
オープンソースの未来すら摘み取ろうとしている。

それは許せるものではない。



1)OpenSolaris
Solarisは、MacのようにUNIXをベースにしたOSで、
そのほとんどの部分をオープンソースとして公開したものがOpenSolarisだ。
管理は「OpenSolaris Governing Board(OGB)」というコミュニティが行なっている。
SolarisもOpenSolarisも、サポートなしの使用は無料、
OpenSolarisはライセンスに従って改変することもできた。

しかし、Oracleによる買収以降、
Solarisの使用が有料化され、
OGBがOracleに連絡を取ろうとしても取れない、
という状況が続いた。

そんな中、2010年8月13日には、
「OpenSolaris is officially now dead.」
というOracleの内部文章がリークされた。

OracleはSolarisの技術を再びクローズドにして、
オープンソースを消し去ろうとしている。

Solarisに関しては、
元々Sunの場合も完全にオープンな技術ではなかったけれど、
Oracleの買収によって明らかに閉鎖的な方向に向かっている。

これに対抗して、OpenIndianaというプロジェクトが動き始めている。

参考URL:
http://japan.cnet.com/news/business/story/0,3800104746,20416852,00.htm



2)MySQL
MySQLは、オープンソースのデータベースだ。
元々、Oracleは自社の名前を冠した商用データベース「Oracle Database」を持っており、
MySQLとの競合が予想された。

今月、OracleはMySQLのサポート料金を大幅に引き上げた。
実に3倍〜7倍の値上げとなる。

MySQLの創始者マイケル・ウィデニウスは、
それを察知するように買収交渉が進みつつあった2009年2月に、
Sunを退社して、MariaDBというオープンソースプロジェクトを立ち上げている。
同プロジェクトのウェブサイトには、
「Help Save MySQL」という文言が掲げられていたという。

参考URL:
http://builder.japan.zdnet.com/member/u48681/blog/2010/07/20/entry_27041196/


3) OpenOffice.org(OOo)
OpenOfficeは、Microsoft Office互換のソフトだ。
Linuxではこれがないとやってられない。
しかし、Oracleは、OpenOfficeへの支援を小さくしてしまった。

我慢しきれなくなって、開発元であるOpenOffice.orgコミュニティは、
2010年9月にOracleからの独立を発表、
The Document Foundationという組織をつくって、
OpenOfficeの名称を「LibreOffice」と変えてリリースを続けるという。

ちなみに、
The Document Foundationの立ち上げには、
Free Software Foundation(FSF)、GNOME Foundation、Open Source Initiative(OSI)、英Canonical、米Google、米Red Hat、米Novellなどの組織や企業が賛同を寄せていて、
OracleはまだOpenOfficeの版権を持っているけど、
正統性は失ったと考えていいと思う。

コミュニティの勝利に、ほっとする。

参考URL:
http://sourceforge.jp/magazine/10/09/28/0847252
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/09/29/078/index.html


4) Java
そして、Java。


Oracleが欲しかったのは、
Javaの技術ではなくて、特許だということが明らかになりつつある。

8月にはAndroidの特許侵害についてGoogleを提訴したが、
これには、多くのコミュニティや企業がOracleを批判している。
オープンソースを支える「みんな」を敵に回してまでも、
賠償金を手にしたいOracle。

その利益追求の姿勢を、
Adobeは「悪の枢軸」と呼んでいる。


Javaについての態度がいちばん許せない。
もっと詳しく書きたいけど、
今日は時間がないので日を改めます。。


↓興味ある人はこの辺を。

“Javaの父”ゴスリング氏、Oracle退社の理由を語る
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1009/27/news020.html(前編)
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1009/27/news020_2.html(後編)


Google、Oracleの提訴に反撃――Androidとオープンソースを防衛へ
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1008/17/news030.html
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1008/17/news030_2.html

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