2011年7月21日木曜日

「障害のないひとの弱さ」

あなたは弱い。


と、テレビの向こうにいる女性が言った。気がした。
重度の脳性まひにからだを少しくねらせながら、
しかし凛とした言葉で、
俺に向かって、弱い、と言った。
ような気がした。

実際にはそんなことなくて、
俺がそう感じただけだけど。


彼女の名前は小山内美智子。
俺が観てたのは、ヒューマンドキュメンタリー「あなたが心の道しるべ~小山内美智子と浅野史郎~」というNHKの番組。
途中からちょっとだけ観た。

重度の脳性まひを抱えながら、様々な行政の壁を打ち壊してきた小山内美智子さんとその声を受けとめ た元宮城県知事の浅野史郎さん。四半世紀にわたる二人の交流を見つめる。
という話(番組紹介より)。

前半は観てないので、標題の言葉が出てくる場面だけ書くと、
浅野は、白血病で入院する。
小山内は、浅野への見舞いに、缶詰のトマトジュースを持って行く。
自分が入院していたとき、快方に向かったきっかけになったものだったから。
しかし、浅野はしばらくそれを飲むことができなかった。
「缶切りを買って来てほしい」と、看護婦に言うことができなかったからだ。


「それが、障害のないひとの弱さだ」
と、小山内は言う。

できることに慣れ過ぎて、
できない自分と向き合うことが出来ない、弱さ。
他人の助けを受け入れられない、弱さ。
自分の弱さを受け入れられない、弱さ。


ああ、俺って弱いな、と、
頭をがつんと殴られたように、思った。
思わざるを得なかった。
まるで自分のことを言われているようだった。
ようだった、というか、言われていた。


「障害のないひと」というのはたぶん、
「障害がないと思い込んでいるひと」のこと。
誰にでも(医学用語的な意味に限らない)「障害」はあって、
完璧なひとなんていなくて、
自分の弱さと向き合わないといけなくて、
誰かの手を借りて生きていて。


みたいなまとまりのないことを思った。

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