2015年1月27日火曜日

池内恵『イスラーム国の衝撃』を今更読んだ。

イスラーム国の衝撃 (文春新書)イスラーム国の衝撃 (文春新書)
池内 恵

文藝春秋 2015-01-20
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読みました。

3時間くらいで読めるので、二次情報に触れてうだうだ言う暇があるなら読んだ方が早い。早かった。うだうだ言ってすみませんでした。

すっかり記憶の片隅に追いやってしまってたけど、10年前にもイスラーム国の前身となる組織に日本人が殺された事件があった。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E9%9D%92%E5%B9%B4%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6



あのとき、自己責任だといってバッシングしていた人も、自己責任ってなんだよ!って反発してた人も、あの事件がなぜ起こったのか本気で知ろうとはしていなかった。たぶん。

少なくとも俺はそうだった。この10年間中東の文脈を知ろうとせずにいた、その補習を受けてる気分で本を読んだ。

その上で思うのは、はたしてここに自分の文脈をどう置いていいか分からない、ということ。たとえば、池内氏はブログで、人質と交換条件に解放を求められているヨルダンの死刑囚について解説して、
 なお、イスラーム主義武装勢力との取引で、人質と交換で囚人を釈放することは、アラブ諸国及びイスラエルを含む中東諸国の政権が、過去に行ったことがあります。ただし、それは中東諸国の政府と国民にとってきわめて重要な意味を持つ人物が人質に取られている場合に行う切札であり、ここで日本人の人質のためにヨルダンに重要な自爆テロ未遂犯を釈放してほしいと要求する場合には、現地においては極めて重大な要求と受け止められることを理解しておくべきです。
(「イスラーム国」による日本人人質殺害と新たな要求について - 中東・イスラーム学の風姿花伝)
と書いている。

理解しておくべきだと思う。その一方で不安になる。理解する、というのは多義的なことばではあるけれど、ここで果たして理解できてしまっていいのだろうか、というよくわからない疑念が頭を過っている。

理解しようとしつつ、理解できなさから目をそらすことを戒めつつ。本を読むしかできない歯がゆさを堪えつつ。

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